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2024.11.15
日本は地震大国といわれるほど、地震が多い国です。そのため、住宅を建てる際には「地震に強い家」を選ぶことがとても重要です。特に気になるのが、「木造と鉄骨ではどちらが耐震性に優れているのか?」という点でしょう。
この記事では、木造と鉄骨それぞれの耐震性の特徴や構造の違い、コスト、修繕費、専門家の見解などをわかりやすく解説します。これから家を建てる方や購入を考えている方にとって、地震に強い家を選ぶためのヒントになれば幸いです。
木造と鉄骨では、使われている素材の性質が違うため、地震への対応のしかたも異なります。ここでは、その基本的な違いを説明します。
木は柔らかくてしなる性質があります。そのため、地震が起きたときに揺れの力を吸収しやすく、建物全体がバランスよく揺れて倒壊を防ぎやすいとされています。
昔から日本では木造の家が多く、地震が多い地域に適した構造だと言われています。
また、かつての木造は「しなやかさ」のみで地震の力を逃がすとされてきましたが、近年は建築基準法の改正や耐震等級制度により、剛性を高めて変形を抑える設計が主流になっています。
そのため、現在の木造住宅は「しなやかさ+剛性」のバランスを取った耐震性能を備えているのです。
鉄骨は非常に強度の高い材料で、大きな力が加わっても壊れにくいのが特徴です。木材ほどのしなやかさはありませんが、実際には「粘り強さ(靭性)」を持っており、ある程度の変形にも耐えられます。
ただし、建物全体が重くなりやすいため、その分地震の揺れを強く受けやすい面もあります。設計が不十分だと揺れを大きく感じる場合もありますが、構造計算や制震・免震技術を組み合わせれば、高い耐震性を確保することが可能です。
要するに、鉄骨は「揺れに弱い」のではなく、「設計や工法によって性能が大きく変わる構造」といえます。
木造住宅には地震に強い特徴がいくつもあります。ここではその代表的なポイントを紹介します。
木材はしなる性質があるため、地震の揺れを「逃がす」ことができます。
木がゆっくりと曲がることで、衝撃を吸収しやすくなります。
このしなやかさによって、柱や梁が壊れにくくなり、建物の倒壊を防ぎます。
特に、木造住宅は古くから地震の多い日本で使われてきた信頼のある構造です。
現在の建築基準法に沿って建てられた木造住宅は、しっかりとした耐震性能を持っています。
耐震等級とは、建物がどれだけ地震に強いかを示す指標で、1から3までの等級があります。
木造住宅でも、等級3(最高レベル)の設計が可能で、地震に非常に強い家にすることができます。
設計段階からしっかりと耐震性を考慮すれば、安全な木造住宅を建てられます。
木造住宅では、壁の量や筋交いの位置などをしっかり計算して配置することで、地震に強くなります。
壁量計算とは、建物の揺れをどれだけ支えられるかを数値化する作業です。
これに基づいて、柱や筋交いのバランスを取ることで、より安全な構造をつくることができます。
大工さんや設計士の腕が光るポイントです。
木造住宅は全体的に軽い構造のため、地震の揺れの影響を受けにくい特徴があります。
建物が軽ければ、その分だけ地震エネルギーの負荷も小さくなるので、揺れに強くなりやすいのです。
この点も、木造が地震に向いている理由のひとつです。
ただし、軽くても設計が甘ければ危険なので、しっかりとした施工が前提となります。
鉄骨住宅にも木造とは違った耐震性のメリットがあります。強度の高さがその魅力です。
鉄骨住宅には非常に強い鋼材が使われています。そのため、大きな地震でも骨組みが壊れにくいという特徴があります。
構造自体が頑丈なので、ある程度の揺れであれば変形もしにくく、安全性を高く保てます。
高層ビルにも使われるほどの強さがあるので、信頼できる構造です。
強さに関しては木造より優れている部分も多いです。
鉄骨は強度が高いため、柱や梁の数を少なくすることができます。
これによって、大きな開口部や自由な間取りを実現しやすくなるのです。
構造的な自由度が高く、設計の柔軟性があるのも鉄骨の魅力です。
さらに、構造の強さが地震時の安心感にもつながります。
鉄骨住宅では、部材同士をボルトや溶接でしっかり固定することで、構造全体を強く作ります。
接合部が強いため、地震の揺れでずれたり崩れたりしにくくなります。
精密な施工が求められますが、その分、完成すれば非常に高い耐震性が確保されます。
施工会社選びがとても重要になります。
鉄骨住宅では、建築前に構造計算が必須となります。これにより、耐震性を数値でしっかり確認できます。
安全性を「感覚」ではなく「数字」で把握できるため、安心して建築を進めることができます。
計算通りに施工されれば、非常に地震に強い住宅が完成します。
技術的な裏付けがあるのが、鉄骨住宅の強みです。
同じ「木造」「鉄骨」といっても、構造の種類によって耐震性は異なります。ここでは、それぞれの構造の違いと耐震性への影響を比べてみましょう。
木造住宅には、「在来工法(軸組工法)」と「2×4工法(枠組壁工法)」の2種類があります。
在来工法は、柱と梁で建物を支える日本伝統の構法で、自由な間取りにしやすいのが特徴です。
一方、2×4工法は面(パネル)で建物を支える構造で、地震に対して一体的に力を分散させることができます。
同じ木造でも、工法によって耐震性に大きな違いが出るため、選ぶ際には工法も確認しましょう。
鉄骨にも種類があり、住宅に使われるのは主に「軽量鉄骨」と「重量鉄骨」の2つです。
軽量鉄骨は、厚み6mm未満の鋼材を使い、プレハブ住宅や戸建て住宅に多く使われています。
一方、重量鉄骨は厚さ6mm以上の鋼材を使い、より高強度で耐震性が高く、大型建築やビルに向いています。
どちらも強度はありますが、構造がしっかりしていないと地震に弱くなることもあるため、施工品質が重要です。
木造でも鉄骨でも、建物の「接合部」がしっかりしていないと、地震の揺れに耐えられません。
接合部の設計と施工精度が、建物全体の強さを決めると言っても過言ではありません。
木造では金物やボルトで補強し、鉄骨では溶接やボルトでの高精度な接合が求められます。
どんな材料を使っていても、「構造設計」と「施工」がしっかりしていないと意味がないのです。
地震に強い家を選ぶには、コストも大切な判断基準になります。ここでは初期費用とランニングコストの観点から比較します。
一般的に、木造住宅の方が建築費が安く済みます。これは、木材が鉄よりも安く、施工も比較的簡単なためです。
耐震等級の高い木造住宅でも、鉄骨に比べてコストを抑えて建てられるのが魅力です。
初期費用をなるべく抑えつつ、地震に強い家を作りたい人には、木造が向いています。
ただし、品質や仕様によっては木造でも高くなることがあります。
鉄骨住宅は、使用する鋼材の価格が高く、溶接やボルトによる組み立てに高い技術が必要なため、コストが高くなります。
その分、耐久性や耐震性は高いため、長い目で見れば価値のある投資とも言えます。
また、設計や施工の自由度が高い分、予算も増える傾向にあります。
初期費用に余裕があるなら、選択肢としては有力です。
木造は、時間が経つとシロアリ対策や湿気対策が必要になるため、定期的なメンテナンスが必要です。
一方、鉄骨はサビや腐食への対策が必要で、これもまたメンテナンスコストがかかる要因になります。
ただし、最近ではどちらの構造もメンテナンス技術が進んでいるため、計画的に維持管理すれば問題ありません。
メンテナンス費用も含めて予算を考えましょう。
地震が起きたあとの修繕費は、住宅の構造によって差が出ます。ここではその違いを見てみましょう。
木造は揺れにしなやかに対応しますが、内装や外壁が傷つくケースが多く見られます。
特に古い木造住宅では、壁が崩れたり、屋根瓦が落ちたりすることもあります。
そのため、地震後には修繕が必要になり、費用がかかる場合があります。
耐震補強をしておけば、被害を減らすことが可能です。
鉄骨住宅は構造自体がしっかりしているため、倒壊はしにくいですが、内装や仕上げ材が損傷を受けることがあります。
また、鉄骨が曲がったり溶接部が損傷したりすると、修繕に専門的な技術が必要になり、費用が高くなる傾向にあります。場合によっては建て替えになる可能性もあります。
大がかりな補修が必要になると、工期も長くなります。
災害後の復旧費用も見越して構造を選ぶことが大切です。
地震の被害が軽微で済んでも、構造部分が損傷していた場合は大規模な修繕が必要になります。木造の場合は部分的な修理ができることもありますが、鉄骨の場合は専門の溶接工や部材の再調達が必要なケースもあります。
どちらの構造でも、地震保険の活用や事前の補強対策がカギになります。
被害を小さくするための備えが、結果的に費用を抑えるポイントです。
建築士や構造設計士など、専門家がどのように木造と鉄骨の耐震性を評価しているのかを解説します。
耐震性は構造だけでなく、建てる場所の地盤の強さや建物のバランスによっても大きく左右されます。
たとえば、軟弱地盤に重い鉄骨住宅を建てると、耐震性が下がる可能性があります。
逆に、良好な地盤にしっかり設計された木造住宅を建てれば、非常に安全な家になります。
構造だけにとらわれず、総合的な判断が重要です。
木造住宅はリフォームや耐震補強が比較的しやすいという特徴があります。
壁や柱の追加も容易なため、将来的に耐震性を高めることも可能です。
鉄骨住宅は構造がしっかりしている分、間取りの変更が難しく、補強も専門的になります。
将来を見据えて、柔軟性のある構造を選ぶことも選択肢のひとつです。
過去の地震での被害状況を見ると、設計ミスや施工不良が倒壊の主な原因になっていることが多いです。
つまり、構造の種類だけでなく、どれだけ正確に施工されたかが重要ということです。
地震に強い家を建てるには、信頼できる設計者と施工業者を選ぶことが大切です。
「構造」+「施工品質」=安全な住宅、と考えましょう。
最後に、木造と鉄骨に関する耐震性のよくある疑問について、簡単に答えていきます。
一概には言えませんが、設計と施工がしっかりしていればどちらも地震に強いです。
木造は軽くて柔らかく、鉄骨は硬くて強いという特徴があります。
建てる場所や目的によって、最適な構造を選びましょう。
どちらも耐震等級3の取得は可能です。
耐震等級は建物の地震に対する強さを示す指標で、1〜3の3段階に分かれています。
等級3は最高ランクで、大きな地震でも倒壊しにくいとされています。
住宅性能評価書や設計図面に記載されていることが多く、確認できます。
新築購入時には必ず確認しておきましょう。
築年数によっては、旧耐震基準のままになっていることがあります。
耐震診断を専門業者に依頼することで、現状の耐震性をチェックできます。
また、耐震補強工事を行えば、安全性を高めることができます。
購入前に調査・相談することが大切です。
保険料率が構造によって変わるのが地震保険の特徴です。
木造は燃えやすく倒壊しやすいと見なされ、保険料がやや高くなる傾向にあります。
鉄骨やコンクリート造は保険料が安くなる場合があります。
ただし、等級や補強状況によって保険料が下がることもあります。
木造と鉄骨にはそれぞれ異なる耐震性の特徴があります。
木造はしなやかに揺れを吸収し、軽さを活かして地震に強くできます。また、リフォームや補強がしやすいという利点もあります。
鉄骨は強度が高く、構造計算によって正確に耐震性を確保できます。設計や施工がしっかりしていれば、非常に頑丈な家になります。
どちらが良いかは、地盤、設計、予算、メンテナンス性など総合的に判断することが重要です。
ぜひこの記事を参考にして、自分と家族にとって安全で快適な住まいを選んでください。