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2024.08.09
子どもに家の絵を描かせたら、たいていはこの切妻屋根を描くくらい、ポピュラーな屋根。
数々ある屋根の形の中でも、今回はこの「切妻」屋根にフォーカスを当ててみます。
日本人に愛されてきた「切妻」屋根。その魅力はどこにあるのでしょう。
「切妻」とは家の中心線から、山型に二方向へ屋根が落ちるデザインです。
この切妻屋根は、「寄棟(よせむね)」同様、日本の住宅建築において最も基本となる大切な形です。
古代では寄棟屋根よりも格式が上とされ、神社本殿などで見かけることも多い形式で、地方によっては「切屋根」「真屋」などとも呼ばれています。
「切妻」という名称は、もともとは「妻を切る」というところから来ています。
「妻を切る?! 物騒な…」と思わないでくださいね。
ここで言う「妻」とは、家の部分名称です。
棟に対して直角になる両方の側面を「妻面」と言います。
屋根の、この妻の部分が切れていますよね。
それで「切妻」なのです。
「寄棟」屋根とは「切妻」屋根と同じように日本で昔から愛されてきた屋根の形状です。4方向に屋根の傾斜面があるのが特徴です。「切妻」と比較すると、外壁材の量は減ります。また、4方向全てに雨樋が必要になるため、費用面での違い があります。
そのほか、4方向が軒になり高さが低くなるので北側や道路の射線をかわしやすいという特徴もあります。ただし、屋根にソーラーパネルを載せる場合、設置面積が小さくなります。
昔から日本では、最もポピュラーな形状である「切妻」屋根。選ばれ やすい理由は多くの メリットがあるからです。メリットを紹介します。
「切妻」屋根の大きなメリットは、施工費用の安いことです。
屋根の構造がシンプルなため工期が短く、人件費や材料費のロスもほとんどありません。そのため、コストを抑えることが可能です 。また、施工不良などのリスクも減らせるでしょう 。
初期費用で迷っている方にはおすすめの屋根形状 といえます。
施工時の費用だけでなく、メンテナンスの費用も抑えられます。
シンプルな形状でトラブルも少ないので、定期的なメンテナンスも簡単にできます。また、 万が一雨漏りが起こっても原因追求がしやすいです。
さらに、屋根 の三角形の頂点部分である「棟」と呼ばれる部分は、建材の接合部分なので雨漏りが起きやすい箇所です。「切妻」屋根は棟部分が頂点の1か所しかないので、必然的にトラブルも起きにくい構造です。
屋根の形状がシンプルなので、どのようなデザインにも適しています 。
シンプル過ぎるので個性がないといわれる場合もありますが 、屋根形状以外の部分のデザインにこだわると個性的な印象の家を 叶えられます。
そのため、和風、洋風と様々なデザインに合う形で今も昔も変わらず選ばれているのです。
メリットが多い 「切妻」屋根ですが、デメリットもあります。
屋根形状を選択するときの判断材料として、デメリットもしっかりと把握しておきましょう。
屋根の構造上、妻側の外壁と破風の劣化が進みやすいです。
また、雨や太陽光が直接当たる部分のため、劣化を早めてしまいます。そのため、メンテナンスの際などは特に確認するようにしましょう。
劣化の状況を見て、必要であればメンテナンスの頻度をその部分だけ多くするなどトラブルが起きる前に対策をしていきましょう。
「切妻」屋根は一般的に普及している屋根の形状ですので、どうしても他の家とデザインがかぶりがちです。
単調なデザインとなり個性は出しにくくはなりますが、屋根の素材や傾斜の角度、色などを工夫することで自分好みの屋根にすることは可能です。
結果的にシンプルなので飽きづらく、浮いた費用で他の部分で個性を出すこともできます。
雨漏りの原因で1番多いのは屋根からの雨漏りです。雨漏りが起きている屋根にはどのようなことが起きているのでしょうか。
経年変化に伴い屋根材が劣化していたり台風や強風などで瓦がずれていたりすると、そこから雨水が侵入してきます。
どの屋根材であっても劣化や損傷のリスクはあるので、雨漏り予防のためには定期的なメンテナンスや、台風や暴風のあとに点検するのが大切です。
点検するときは、棟部分や瓦など、風の影響で損傷したり飛散したりする可能性があるので気を付けましょう。
屋根の施工自体が間違っていたり、ソーラーパネルの設置時に業者が誤った取付けをしてしまったりなどのケースで雨漏りが発生するケースもあります。
そうならないためにも、信頼のおける業者や施工会社に依頼して、事前に防ぐようにしましょう。
屋根の不具合は雨漏りの原因に直結するので定期的なメンテナンスは必ず行ってください。また、台風や大雨などの災害後には屋根に損傷がないか目視 による確認をしましょう。
普段はあまり意識して見ることのない屋根ですが、様々な形状のものがあり一長一短です。
その中でも「切妻」屋根は日本だけでなく世界中で多く見られる形状で、シンプルなつくりで施工費用が安いといったメリットも多くありますが、もちろんデメリットもあります。
メリットとデメリットを比較しながら、ご自身の求めるデザイン性や機能面、コストなどと相談しながら決めていくようにしましょう。
もし、個性を出したいけど費用面に不安があるといった場合は、色や素材の選択など工夫次第で叶う場合も多くありますので工務店に気軽に相談して決めていきましょう。
日本で屋根に用いられる材料、例えば瓦や、スレート、金属屋根材などは、葺き重ねる部分に隙間ができます。
ですから、勾配を付ける事が必要です。
この傾きによって、水は隙間部分から浸入する前に流れ落ちていくことになります。
その結果しっかり勾配(屋根の角度、傾き)を付けられて、雨水の弱点になりやすい接合面も少ない切妻は、雨が多い日本で多用されました。
シンプルですから、伝統的な和風にももちろん、洋風にもあうデザインであるということもメリットの1つと言えます。
設計を学ぶときには、凹凸の多い設計で屋根形状に悩んだら切妻や寄棟から考えよ、と教えられることがあるそうです。
複雑な形の屋根も、切妻や寄棟の変形や組み合わせがほとんどだからです。
「どんな屋根がいいかなあ」と思ったら、まずは切妻から想像してみてはいかがでしょうか。
建築に関する素朴な疑問にも、丁寧にお答えします。
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